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学園パラレル

星屑ティーンエイジ

 ←お化け屋敷の中で満月の夜、本当のことは内緒にしなければならないコトをした     →拍手コメントお礼
クラウド誕生日おめでとうーーー!!!2か月前ですがね。
やっとやっと、クラウド誕生日話出来上がりました。
ティファの誕生日話の続きになりますので、学パロです。前回に引き続きザックスとエアリスも出てきます。
それでも宜しい方は、以下からどうぞ。




雲一つない青空の下を二人で歩く。
表情が乏しく非常に分かり辛いのだが、クラウドは浮かれていた。とてもとても浮かれていた。今日は誕生日デートなのだ。
隣に居るのは、いつもよりおめかしした幼馴染。彼の秘密の恋人。極めて親しい友人にしか彼らの関係を伝えておらず、誰に見られるかも分からないので手を繋ぐことは出来ないが、せめて歩くペースは同じにする。
目的地は普段遊んでいる場所より遠方にした。移動に時間は掛かるが、学校の人間に見られて色々詮索される煩わしさを彼らは避けたかったのだ。
今日は1日二人っきりを思いっきり楽しむ。
ほどほどに会話をしながら、これからの行動を脳内で綿密に計画していたクラウドだったが、駅に到着した途端自分の計画は既に破綻している事を思い知らされてしまった。
「10分、待ったよ!」
「早く行こうぜ!」
背の高い親友とスリムなその彼女。
「先輩!?本当に来たんですか!?」
ザックス達の姿を見て驚きながらも、彼らが今日の二人のデートを知っていたと分かる発言をするティファ。
エアリスが意味深な微笑みを向ける。
クラウドは彼らが待っていたのではなく、待ち構えていたことを悟った。

星屑ティーンエイジ

「クラウド、怖い顔しない!楽しい、ダブルデートだよ?」
「…頼んでない」
女子が座席に座りその前の吊革に男子が掴まり、仲良く電車のリズムに揺られながら移動する。
先輩に対して、よくここまで無遠慮に不機嫌オーラを発せられるものだと感心してしまう程のクラウドの態度に怯まず、エアリスが宥めるような声を掛けたがやはり彼の機嫌は悪いままだ。そんなクラウドにティファはハラハラしていた。
そもそもクラウドの誕生日に何を贈れば良いのかとエアリスに相談してしまったことが全ての始まり。今日の事態を引き起こしたのは自分だと自覚していたのだ。
7月の地区大会で残念ながらインターハイ出場を逃し、次の大会に気持ちを切り替えてはいるものの、まだ傷心しているであろう彼氏を慰めながら誕生日も祝える一石二鳥のプレゼント、それはデート!と力説され、何か欲しい物がクラウドにあるのなら、その時一緒に選べば良いと言うのがエアリスの提案。
ティファもそれは良いアイデアだと思い、時間を見つけてはクラウドを祝うデートプランを頼れる先輩であるエアリスに相談し、エアリスは自分が出掛けるかのように日程を始めとした綿密な計画を一緒に練ってくれたのだ。その最中「私もザックスと、デートに付いて行こうかな?」と冗談めかして言われ、「それは楽しそうですね」と社交辞令的に応えたのだが、まさか本気で来るとは思っていなかった。
今考えれば、あれはクラウドと自分のデートプランではなく、ザックスとエアリスのデートプランだったんだと愕然とする。
しかし付き合ってまだ3ヶ月程しか経っておらず、その間学校と休みの無い部活で忙し過ぎてクラウドと大した進展が無かったティファにとって、心の隅に彼と二人きりで今日1日持つのかと心配していた部分も実はあった。
自分はクラウドの事が好きだ。クラウドも自分を好きと言ってくれている。彼女が分かっているのはそれだけだ。
だからお互い相手の事に付いて未知の部分がまだ多く、どんな話題を選べば良いのかも分からない状態の中登場した、部活でも恋でも先輩な二人は困った存在でありつつ、ティファにとって大いなる助け舟でもあったのだ。

移動中は機嫌の悪さを隠そうともしないクラウドも、目的地最寄りの駅に到着するとやはりテンションが上がったらしく、人の流れに沿って改札を出た後さり気なくティファと並んで歩こうとしていた。
それをエアリスは二歩後ろから眺めている。
頑張る後輩。努力は、認める。でも、まだまだ。
横に並んだものの半身程のスペースを空け、身体の接触無く歩く彼らの間にエアリスは露骨に割り込んだ。
驚くクラウド達に構わずティファと手を繋ぐ。
「迷子にならないように、ね」
「…はい」
確かに繁華街で人は多いが、今更高校生で携帯も持っているし迷子は無いだろう。そんな事エアリスにも分かっていたが、あと一歩の距離を踏み込まないクラウドにイライラしてしまったのだ。だから見せつけてあげる事にした。ティファと手を繋いで歩くのはこういう事だと。
「なんで…」
「お前がモタモタしてるからだろ」
呆然とするクラウドと、言わばティファに彼女を取られているのに余裕のザックスの会話が聞こえたが、エアリスはそれを明るく無視してティファの手を引きズンズン歩いて行った。
まずは映画を見て、それからランチを摂って、買い物をして、お茶もして、あわよくば彼らに夕食を奢ってもらって。今日の彼女は忙しいのだ。

映画のセレクトに何故恋愛映画じゃないのかとエアリスが抗議すれば、恋愛映画だと男は確実に寝るとクラウドが応じ、今だエアリスに手を繋がれたままのティファはふたりの顔を交互におろおろと見遣っている。
ザックスはその光景をすぐ側で観察していた。とにかく面白い。
クラウドとティファのデートに保護者として私達は付いて行こうと、エアリスから冗談とも本気とも取れない計画を持ち掛けられた時、可愛い後輩にして親友であるクラウドとその想い人のティファの困った顔がすぐ彼の目に浮かんだ。同じ時間を使うなら、自分達が普通にデートする方が絶対良いとも思った。
しかしそれ以上に、学校や部活では慎重に行動し、仲について打ち明けてくれた自分とエアリス以外の人間には決して関係がバレないように過ごしているクラウド達が、一体どんな風に恋人同士として接しているのか見てみたくなってしまった。つまりザックスは好奇心に負けたのだ。
現在恋人同士としてどころか、仲の良いエアリスとティファの間を邪魔しようとするクラウド、という風にしか見えない状況に陥ってはいるが、それはそれで傍から見ていて楽しい。
結局映画自体はエアリス曰く、非常に無難でデートで観るには全く面白みのない、CMで最近よく見る話題作を共に鑑賞することになったようだ。
おのおのチケットを買った後、譲歩したのだからポップコーンをティファと私に奢れとエアリスが言えば、渋々売店にクラウドが向かって行った。ちゃんとティファには飲み物は何が良いか聞いて。
慌てて自分も行こうと身体の向きを変えたティファだが、繋いだ手を逆方向にエアリスに引っ張られ、先に席で待っていようと指定のスクリーンへ連行されて行った。
『二人共もっと仲良くなるにはね、ショック療法が必要だと、思うの』と昨日エアリスから聞かされた言葉。
確かにショックと言えばショックだ。改札を出てからずっと、ティファは彼女に取られっぱなしなのだから。それに対抗しようとクラウドはクラウドなりに(何せ相手が強力すぎて勝負は目に見えているが)ティファとの距離を縮めようと頑張っている。つまりそれは、エアリスのショック療法がほんの僅かでもクラウド達の仲を進展させることに効果があった事を証明していた。
やっぱりエアリスは、天使で小悪魔だ。
保護者計画を話す彼女の悪戯な笑みを思い出し、ザックスは苦笑する。
「俺も奢って」
「ふざけるな」
売店の列に共に並んで彼がお願いしてみたら、可愛い後輩であるはずのクラウドは、彼女の無法の連帯責任を取れと言わんばかりに、親友の脇腹にパンチを一発お見舞いした。

映画を楽しみ、昼食は予算の関係上ファストフードでお安く済ませ、ティファはこれからどうするのかクラウドに聞こうとした。しかしそれより早く出される宣言。「じゃあ、ここから男女別れて、自由行動!3時間後、改札集合!分かった!?」
エアリスの発言にティファも驚いたが、クラウドはそれ以上に驚き腹も立てる。
「待て!冗談だろ!?」
食って掛かりそうな勢いの彼に、エアリスは動じない。
「ちょっと…」
彼を手招き少し離れた所で耳打ちしたのはザックスで、少し不満そうではあるが、クラウドはそれで納得したらしく「また後で」と言い残し男二人で雑踏へ消えて行った。
呆然と彼らの姿が見えなくなるまで眺めていたティファの左手が、また柔らかく温かい感触に包まれた。
横を見れば、予想通りエアリスの笑顔。
「行こう!クラウドの誕生日プレゼント、選ぶんでしょ?」
「はい!」
彼と離れてしまったのは寂しかったが、エアリスと一緒買い物をする事に、ティファの心は浮き立った。

色々な店に入り、色々な商品をチェックする。でも、デザインだったり実用性だったり予算面だったり、どれも何か引っ掛かりがあって決定が下せず、気が付けばもう2時間は経っていた。
そもそもエアリスがクラウドの誕生日プレゼントそっちのけで、可愛い服や小物を見つけると迷う事なく店に入って試着したり、ティファにも何が似合うのか選んだりしてやたらと時間を消費していたのも原因ではあったのだが。
歩き疲れてちょっと休もうと一番近くにあったカフェに入り、テーブル席に座ってちょっとだけでは済まないガールズトークを開始した。
話題はやはり、現在は清く正しいクラウドとティファの交際について。会話をリードするのがエアリスなので、ティファも思わず包み隠さず話してしまう。
「えっ!まだキスしてないの!」
「先輩!声大きい…!」
慌てて周囲を見回し声を潜め、お互いやや前屈みになり顔を近付け話を再開する。
「先輩、じゃない!エアリス!」
今日、ティファに何度も注意した事をまた繰り返した。学校以外では、名前で呼んで欲しいと。
ティファが神妙な面持ちで言い直す。
「エアリスせ…、エアリス、声大きいし、そんなに変な事ですか?」
「敬語も禁止!」
この注意も何度目だろう。
エアリスはわざと怒った顔を作り、ティファによく言い含めた。
「学校離れたら、私達は友達。だから敬語、禁止!」
ティファが遠慮がちに頷きつつも言い募る。
「でもすぐには…」
「すぐに慣れるの!」
上下関係が厳しいスポーツ系部活に所属していると、年上にタメ口で話すのはいくら先輩が良いと言っても、後輩は言い辛いものだ。そんなティファの心情が分かった上で、エアリスは無理を通そうとした。彼女はもっとティファと仲良くなりたいのだ。
暫くの沈黙。
決心したようにアイスティーを一口飲んで、ティファがおずおずと口を開いた。
「エアリスは…、クラウドのプレゼントで、オススメの物ある?」
まるで蕾が花開くような笑顔でエアリスは答える。
「ある!よ。絶対オススメなモノ!」

野郎二人でも3時間遊んでこいと言われればもちろん遊べる。エアリスとティファとは違い、以前からかなり仲良くなって学校の外では親友として付き合っているので、一緒に過ごす事は楽しい二人だ。しかし、そもそも全く別の目的でやってきた街なので、今ひとつ盛り上がりに欠ける。
それなりにスポーツ専門店等を見て回った後まだ時間を持て余していたので、昼食を摂った店とは別系列のファストフード店でシェイクを啜りつつ、ザックス達は集合までの時間を潰すことにした。
一応、部活の事などを話してはみる。それなりに会話は続いた。先程クラウドに耳打ちしてティファから彼を切り離す事に成功した、ティファは内緒でクラウドの誕生日プレゼントを選びたいんだという話題にも触れた。これもそれなりに会話が続いた。しかし、本当に話したいことをザックスは言えないでいた。いや、敢えて言わないでいた。
何故なら興味本位で話題にすれば、後輩にして親友である目の前の男は完全に口を閉ざすタイプだと知っていたので。
クラウドを待つ。ひたすら待つ。秋以降の練習試合の予定なんて正直今話さなくていいよと思っていても、顔に出さずに話に合わせた。
そのうち話題が尽きたのか、沈黙が落ちる。
しかし、それこそが彼が待っていた時間だったのだ。クラウドが敢えて核心的な事を言わず、たわいのない話ばかりしていた事も知っていたので。
さあ来い、クラウド。
ザックスが心の中で手招いた時、テーブル越しにクラウドが少しだけ身を乗り出し、ゆっくりと口を開いた。
「ザックスとエアリスはさ…、その、キス…とか、どの位付き合って……、いや、いい」
「お前そこまで言ってんなら最後まで質問しろよ!」
ザックスの前のめりのツッコミにクラウドが身を引く。
「いや、いい」
この期に及んで怖気付いたのか、それとも状況をリアルに想像出来てしまうザックスとエアリスだから話題を避けたのか。
どちらにしろここまで話を持ってきておきながら今更引き返そうとするクラウドが気に入らず、ザックスは親友の言葉を無視した。
「俺とエアリスは…」
「だからいいって!どうせ延々惚気話聞かされるだけだろ!」
否定は出来なかった。どうやらクラウドはクラウドで、ザックスの隠れた願望に気が付いていたようだ。
仕方が無いのだ。彼らが付き合い始めたのは、クラウド達が付き合い始めたほんの1ヶ月前位でしかないのだから。まだまだお互いを知ろうと手探りで仲を進展させている時期ではあるが、クラウド達よりは要領良く恋愛に取り組んでいる彼らにとって、いくつか聞かれていなくても報告したいことがあった。
ただそれを正直に認めては、この後まだ潰さねばならないのに時間を潰せなくなると、会話を続ける努力をする。
「そんなの聞いてみないと分からないだろ?」
それに対し、クラウドは無情に言い放った。
「分かる。ついでに色々聞き出そうとするのも分かったからもういい」
しかしザックスは下がらない。
「まあ聞け。俺とエアリスは…」
「ザックス!」
「付き合って3ヶ月も経つのにキスの一つも出来ない奴は大人しく聞け!」
ザックスが一息で言い切った言葉にクラウドは少し情けない顔を見せ、やがて本当に大人しく話を聞く姿勢を取った。
それでいい。今から俺も、エアリス同様二人に刺激を与えてやろう。
恋愛についても先輩であるザックスは恋愛について遥か後輩であるクラウドに、実体験をエアリスに怒られない程度に公開しながら、清く正しい男女交際から少しずつ道を踏み外していく方法についてレクチャーを開始した。
時々赤くなるクラウドの反応を楽しみながら。

夕闇が訪れ星がまばらに瞬き始めた夜空の下を二人で歩く。
表情が乏しく非常に分かり辛いのだが、クラウドは疲れていた。とてもとても疲れていた。今日の誕生日デートは散々だったのだから。
隣には、駅でザックス達と解散して以来妙に口数が少なくなった幼馴染が歩いている。ティファは疲れているというより、そわそわと落ち着きがないという印象を受けた。きっと門限が迫ってきているせいだろう。
本当は家に帰り着くまでゆっくり歩いて沢山話がしたかった。しかし、彼女の親、特に父親の機嫌を損ねてしまっては今後彼らの関係に影響が出ないとは限らない。
結局早くティファを帰宅させようと頑張った結果、彼女の自宅前に門限の10分前に到着することが出来た。
「今日はありがとう」
「うん」
ティファの感謝の言葉に、何で気の利いた返しが出来ないんだと自分を叱りながら、クラウドはいつもの通り頷く。
「…」
「…」
『一緒に居たかったら、一緒に居たいってはっきり言えば良いんだよ。思ってる事を素直に言え、素直に!』
本日頂いたザックスからの有難いアドバイスを思い出す。
もっと一緒に居たい。
なのに言葉が出て来ない。
こんな所がダメなんだとティファを見詰めたまま内心頭を抱える彼の目の前に、彼女が手に提げた紙袋の中から取り出した物をおずおずと差し出した。
「あの、これ…誕生日プレゼント」
両手に抱える程度の、ブルーのラッピングバックに包まれた贈り物。受け取ると、予想以上の重たさがある。
「あ…ありがとう!開けていいか?」
「うん…」
開封の許可を求める言葉にティファの目が泳いだ事が少し気になったが、それに構わず期待に胸を膨らませ中身を確認する。現れた物は。
「…これ、水に溶かすやつだな」
「部活で脱水起こしちゃいけないでしょ?…気に入らなかった?」
「…いや。嬉しいよ。明日から早速使わせてもらう」
ティファのプレゼントは、いつもクラウドが部活で飲んでいるスポーツドリンクの、水に溶かして使うパウダータイプの素。とてもお得な10リットル用である。
夏場にスポーツをする者にとっては、コストパフォーマンスも良く熱中症に対する強い味方な上、確実に消費するので貰って趣味が合わず困るなんて事も無い。
嬉しい…はず。きっとティファは一生懸命選んでくれた。だから、嬉しくないなんて事は絶対にない。
しかし分かってはいても、日常の延長上に位置するかのような品物に幾ばくかの寂しさを禁じ得る事がクラウドには出来なかった。
ただ今日の誕生日デートの申し入れ自体ティファからなされたもので、そもそも彼女にしてみればお出掛け自体がクラウドに対しての誕生日プレゼントだった可能性が高い。その証拠に夕食を食べたファミレスで、結局奢ってもらう事は彼が辞退したが、「私が奢る」とクラウドの食事代をティファは出そうとしていたのだ。
つまり、誕生日だからと言って過剰な期待をする自分が悪い。
プレゼントを抱えて男女交際の難しさを噛みしめながら、「本当にありがとう。それじゃあ」と別れの挨拶をし隣の自宅へ向かおうとした彼を、「待って!!」とティファの切羽詰った声が引き留めた。
振り向いたクラウドにすかさず「目を閉じて!」との命令が命令が下され、彼は素直に従う。
5秒後、左頬に感じる柔らかくて温かい感触。永遠の様に長くて、一瞬の様に短い口付け。
唇が離れるのと同時に頬に手を当て目を見開き、ただただ真っ赤になり俯く彼女をクラウドは凝視した。
ティファがキスしてくれたティファがキスしてくれたティファがキスしてくれた。
彼の頭の中をぐるぐる回る一文。
「…これも、誕生日プレゼント」
「…」
驚いて呆然としていながら同時に嬉しくて舞い上がり、呟く様なティファの言葉にまた上手く言葉が返せない。
そんな何も言わないクラウドに、突拍子もない行動で彼が呆れていると誤解したのか慌ててティファは言い訳を始めた。
「あのね、エアリスがこうしたら絶対喜ぶって…!!先につまらない物プレゼントしてわざと気分を落としといて、後でキスしてあげたら絶対喜ぶって!!」
薄っすら涙目になり自分を見上げて言い募る彼女を、心の底から可愛いとクラウドは思った。
脳裏にぐいぐいと彼からティファを引き離して行ったエアリスの笑顔が浮かぶ。
あの時は恨みもしたが、今は感謝してる。明日は部活の後にエアリスにジュースを奢ろう。
感謝の心を抱いたクラウドの脳裏に、すぐさま『私の働き、缶ジュース程度?』と更なる要求をちらつかせる笑顔も浮かんだが、それは意識の底へ追いやった。
先輩からのアドバイス(?)を励みに頑張ったティファの為、クラウドも今度こそきちんと自分の気持ちを伝えようとする。
何も気取ることは無いのだ。ザックスが言っていたではないか。『素直に言え!』と。
「口が良い」
「…えっ?」
慌てて自分で自分の口を塞ぐ。ザックスから『素直に言え』と言われてはいたが、余りにも自分の本心を素直に言い過ぎた。
ここは『ありがとう』とか『嬉しいよ』とか『好きだ』とかだろう。
再び内心で頭を抱えながら手で口を塞ぎ耳まで真っ赤にして顔を背けたクラウドに、また俯いてしまったティファがそれでも伺うように訊いてくる。
「口って、唇の事だよね?」
今こそ、先程の発言は取り消して勇気を出した彼女に感謝の言葉を。
「………うん」
否定出来なかった。頬にキスでも嬉しい事に変わりはないが、やはり求めるモノは頬から横に移動した場所に欲しいのだ。
こんな事で素直にならなくてもいいのではないかと思いつつ、大体今時付き合った当日にキスするカップルだって珍しくないのに、何を自分達はモタモタしているんだという焦りも無いことは無く、この千載一遇のチャンスを逃したらまた当分清く正しい仲を続けねばならないという危機感が彼を素直にした。
横目でちらりと見れば、ティファは俯いたまま。
がっつき過ぎて引かれたと顔を青ざめ始めた彼の耳に、天使の声が届く。
「クラウド…目を閉じて」
「うん!」
力強く答えてしまったが、そんな事どうでもいいとクラウドは即座に目を閉じた。
近付く彼女の顔を見たいという欲望と、それがバレたら怒られると冷静に押し留めようとする心が彼の中でせめぎ合う中、ティファの手が彼の肩に掛かる。
来る。
彼女の微かな息遣い。
あともう少し。
「ティファ、帰ってるのか?」
その時玄関方面から聞こえてきたのは悪魔の声、いや、ティファの父親の声だった。

「パパ!」
門扉前のこちらへやって来る父親の気配に、慌ててクラウドがティファから離れた。
玄関からは庭木のお陰で二人が何をしようとしていたかまでは見えないはずだったが、それでも心臓に悪い。
「こんばんは。ティファを送ってきました」
背筋を伸ばして言うクラウドは、少しどころか、かなり緊張していると分かる。全く疚しい事をしていないと言い切れないせいで、心なしか声も上擦って聞こえた。
「パパは今からお出掛け?」
「馬鹿を言うな。お前が帰って来ないから様子を見に出てきたんだ」
「門限に間に合ってるはずよ」
「さっき過ぎたぞ」
ティファは若干の焦りはありつつも、相手が自身の父親なので安心しきった無防備さで話し掛ける。
その間、クラウドは直立不動。二人の会話に加わる事など考えも及ばないようだ。
「ちゃんと門限までにはここに帰ってたのよ」
「じゃあ、何で家に入らない?」
キスしようとしてました。
当然言える訳がなく、もっともらしい嘘を猛烈な勢いでティファは探す。
「…明日の部活の事とか夏休みの宿題の事とか、色々話してたの!ねえ、クラウド」
「えっ?…あっ、そう!部活!明日も早いな、とか…」
突然振られてワタワタと返事をする彼が可笑しくて、とても可愛いとティファは思った。一方で父さえ登場しなければ、今頃クラウドを可愛いではなくもっと別の感情を持って見る事が出来ただろうとも思った。
比べてみれば彼女にとっては残念な気持ちの方が大きく、またクラウドが自分をチラリと見た時の表情で、彼も残念だと感じている事が分かった。
「それじゃあ、ティファ。また明日」
憮然としたティファの父親の視線が耐えられなくなったのか、クラウドは軽く手を挙げティファの家を後にする。
「クラウド!」
すぐ隣の自宅の門扉を開けようとする彼に声を掛けた。
これだけはちゃんと伝えておかなくてはと、ティファは声に力を込める。
「さっきの話、私、努力するね!」
「…ああ、頼む」
はっきりクラウドが笑ったのが分かった。
確かに視線を交わした後、彼が自宅へ入るのを見届ける。
「何の努力だ?」
「もう!娘に何でもかんでも訊かないの!」
いぶかる父親に、ティファも笑顔で答えた。

明日も早朝から部活があるのに二人とも中々寝付けず、それぞれの部屋のそれぞれのベッドでそれぞれの枕を抱えてまだ起きていた。時間が経って冷静になってみれば、色々思う事はあるのだ。
ティファは「努力って一体何言ってるの!?私はキスしたがってる欲求不満な女ってクラウドに思われるじゃない!!」と悶々とし。
クラウドは「何が頼むだ!?普通キスなんて男からするものなのに、このままじゃティファからただのヘタレな奴だと思われるだけじゃないか俺!!」と悶々とし。
夜も更け星屑が散らばった夜空の下、お互い自意識過剰なティーンエイジな二人は、知らぬ間に同じタイミングで自己嫌悪に陥ったままベッドの上をゴロゴロと転がった。FIN




クラウド、誕生日おめでとーーーー!!!が白々しく聞こえる?私もそう思います。
クラウドを不遇な目に遭わせる会があったら、間違いなく私が会長を務めます。スマン…。パパまで出てきちゃった。
今時の学生が3ヶ月もキスしてないって、どんなファイナルファンタジー!?と自らにツッコミを入れつつ、更にクラウドにはおあずけを喰らわせることにしました。まあ、キスさえしたら、後は、ねえ。
でもクラウドが好きで祝いたい気持ちは本心です。改めて、クラウド、誕生日おめでとう。


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