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学園パラレル

キャラメルフラペチーノとティアドロップス

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本日9月8日です。
なのに、5月3日の話をUPします。
やっと!やっと!!やっと!!!ティファ誕話が出来ました~~~~!!!!

学園パラレルものです。
それでも宜しい方は、以下からどうぞ。






麗らかな春から澄み渡る夏へと日差しが変わりつつある季節に、少年から青年へと変わりつつある人物はショウケースを前に悩んでいた。
将来を決める受験校選定でもこれ程悩む事は無かった彼が、背後の人がちらちらと自分を見る視線に気付いていながらも、その場から動かず自分の世界に入っている。
ある意味、彼の一生を左右する大事な選択なのだ。
間違いは決してあってはならない…!と気合を入れる、が。
「ク~ラウド君!!な~に、見てるのかな~!!」
「うわぁ!!!」
今彼がもっとも会いたくて、もっとも会いたくない人物が背中に飛びついてきた。

キャラメルフラペチーノとティアドロップス

ティファは悩み相談を受ける事が多い。学生らしい学校生活の事から友達付き合い、恋愛の相談だって受ける。
ただし相談する側はティファに話をする時点でその解決方法を自分の中で決めており、単に悩み、もっと言えば愚痴を聞いてもらいたいだけのケースも多々あるのだが。
昼休みの図書館、連なった書架の一番奥の空間で声を潜ませながら、ティファに『相談』という名の緊急レポートをしている目の前の級友もそうだった。
彼女の場合、自分が好意を寄せている同級生男子と一学年上の先輩女子がデートしているという、高校生にしたら中々の衝撃シーンを目撃してしまったショックをティファに話す事によって和らげている最中である。見た目で好意を寄せた男子については、キッパリ諦めるという結論を持って。何せライバルが強敵過ぎる。
「それ…本当にエアリス先輩とクラウドだったの?」
「間違いないって!!!」
「シッ!声大きいよ」
書架に挟まれた通路の向こうから、何事かと誰かがこちらを覗いているようだ。ティファ達はそれに背を向け、またひそひそと会話を続けた。
友人曰く、先週土曜日の午後5時頃学校最寄りの駅から二駅離れたアクセサリーショップで、仲良く買い物をしている二人を見た。その後一緒にスターバックスに行き、これまた仲良くカウンターに並んで座って、コーヒー片手に会話を弾ませていたとの事であった。
「もしかして土曜日は一日中部活だった?」
「…ううん。部活は先生の都合で2時までだった」
「じゃあやっぱりストライフ君とゲインズブールさんで間違い無いよ。あれは…絶対付き合ってると思う!ティファは聞いてない?」
この情報を何故一番にティファに報告したのか?ずばりティファがクラウドの幼馴染で家もお隣さん、加えて同じ部活に所属し会話する機会も多いからだった。
だが、友人に対する有益な情報を彼女は何も持っていないのである。
「クラウドからも…エアリス先輩からも…そんな話、聞いてない」
「部活内恋愛禁止だから、言ってないだけとかは?」
「…それは…あるかも」
ティファの声は小さかった。ここが図書館だから小さかった事もある。しかし、彼女の声を更に小さくさせたのはもっと心理的な要因。
あんな美男美女の組み合わせ反則だよね~などと、二人がお似合いのカップルである事をやっかみ半分で周囲の顰蹙を買わない程度の声でぼやきながら、乾いた紙の匂いが漂う狭い通路を進む友人にティファはのろのろと付いて行った。

結構ハードな部に所属するクラウド達にとって、土日祝日の休みなんてまずありえない。
世間ではゴールデンウイークと言って行楽を楽しむ期間であるらしいが、彼らは今日も今日とて来たるべき大会に向けて他校との練習試合に明け暮れている。
マネージャーをしているティファも同様、いやそれ以上に忙しく、試合終了後は今日の試合のデータ取り纏めや明日の試合用物品の確認などを同じくマネージャーを務めているエアリスと共に行い、帰宅は日が暮れてからになるのが常であった。そして治安が悪いエリアに住んでいなくても、夜間女子生徒を一人で帰宅させるのは物騒だとの顧問の判断より、ティファをクラウドが自宅まで送るのが彼らの部のルールとなっていた。
役得だ何だと他の部員から大変羨ましがられるが、家が隣なのだ。これ以上の適任者は他に居るのかとクラウドは言いたい。
「じゃあな!明日の6時集合、遅れんなよ~!!」
車が行き交う道路の反対側から届く、クラウドと同様エアリスを自宅まで送るザックスの馬鹿でかい声。道を挟んでお互いに手を振り合い、彼らはポツポツとまばらに星が見え出した街を、疲れ果てた身体を引き摺るように帰路に就いた。
正直すぐにシャワーを浴びて、ベッドに飛び込みたい。クラウドの正直な心境である。しかし、身体の欲求とは別に心が別のモノを求めていた。
他の男なら別の日でも大丈夫だろうが、傍から見れば強気でも、案外臆病な彼にとっては今日しかチャンスがない事。
「クラウドありがとう。じゃあ、明日ね」
気が付けばもうティファの自宅玄関前で、ぼんやりこのままいつもの調子で別れそうになりクラウドは慌てる。
「ティファ!」
「何!?」
門扉に手を掛け中に入ろうとしていたティファが驚いて振り返った。普段の彼からは想像出来ない焦った声になっていたらしい。
「……」
「…クラウド?」
頭の中で何度もシミュレーションした事なのに、それ程難しい事を頼むわけではないのに、いざその時になるとクラウドは沈黙する。それ程までに緊張する事なのだ、今から頼む事は。
何も言わない幼馴染を前にして怪訝そうに首を傾げるティファ。それを見て、いっそ別の機会に…という選択肢がクラウドにチラついたが、ここで逃げるわけにはいかない。彼は思い切って口を開いた。
「ティファ…あの、後で…晩飯とか風呂とか終わった後で、会えないか?」
「…何時頃?どこで?」
考えてなかったクラウドはまたもや焦る。ティファの家がやたらと厳しいという事は無いらしいが、それでもあまり遅い時間の外出は止められるだろう。どうすれば良いのかと考え、また沈黙。
「外出られそうになったら、連絡するのはどう?」
彼女の家の事情に色々気を巡らせているのだろうと察したティファからの提案に、クラウドは無言のまま頷いた。

夕食を摂っている間も、入浴をしている間も、ティファは上の空だった。不審に思った家族が何かあったのかと聞いても、彼女は何も無いと答えるばかりで。
自室で風呂上がりの自分の姿を鏡に映す。見慣れた顔、いつものルームウェア。
もう少しオシャレな服にしようかと考え、しかし溜息をついてティファはその考えを却下した。
とうとうこの日が来た。そればかりが彼女の心を占める。
ティファなりにこの数日間、クラウドがどんな言葉を紡ぎ、どんな表情で自分に打ち明けるのかを想像して、これから受けるであろうダメージを軽減出来るように備えていた。しかしそれが数分後に起こる事を考えると、泣きたくなる。
泣きたくなるが、絶対彼の前では泣かないと決心し、ティファは携帯を掴み玄関に向かった。

日中天気が良く暖かかった日は、その分夜に気温が下がる。放射冷却という現象を嫌という程思い知りながら、クラウドはロックハート家の玄関前で身体を冷やしながら待っていた。
母親にはコンビニに行くと言い残し、自宅から徒歩30秒も掛からない場所で彼は20分前から待っている。時々通る通行人に不審者だと思われないよう、いかにも散歩中に携帯に連絡が入り、その確認をたまたまロックハート家の前でしている体を装いながら。
ティファから何時に連絡が来るかは分からなかったが、進む時計の針に居ても立ってもいられなくなったのだ。
何度も携帯の画面を確認し溜息をつく。ティファからの連絡はまだ来ない。
もしかしたら、部活で疲れ果てて寝てしまったかもしれない。いや、そもそも夜に俺と会う事自体が嫌になったのかもしれない。不安な気持ちはネガティブな想像を膨らませ、クラウドは意味も無く門扉の前を行ったり来たりする。
後5分、いや、10分待って来なかったら一旦家に帰ろう。そう決意し携帯で時間を確認した時、玄関のドアが開く音がした。

「…クラウド!」
門扉の向こう、玄関先の照明が辛うじて届く薄暗がりの中に、ティファを思い悩ませる人物が既に待っていた。
小走りで駆け寄りながら自宅の敷地を出る数秒の間に、元々この時間に会うと約束していたのに自分は忘れてしまってたのかと、必死に記憶を辿る。
「今コンビニ行こうとしてたんだ。ティファは?」
門扉を開きながら、スケジュールを取り交わしていたにも関わらずそれを忘れていたならキチンと謝らねばと考えていたところ、単に外に出て来たタイミングが合っただけと言われティファは拍子抜けする。そして少し落胆する。
「私は…今なら出られるから、外でクラウドに連絡しようと思ったの」
「ああ、そうなんだ」
かなりの覚悟を持ってここに来たのに、自分はクラウドにとってコンビニに行くついでに会っても差し支えない存在らしい。その事実に胸の奥が少し痛むのを彼女は無視し、「そうなんだよ」と笑顔を見せた。
「それで、会いたいって何か話があるんでしょ?何?あっ!先にコンビニ行く?」
努めて明るく振る舞うティファを前に、クラウドの視線は彼女を通り越し、室外灯が灯った玄関先をキョロキョロと伺う。
「コンビニは別に行かなくても良いんだけど…、ティファはあまり家から離れるのは良くないよな?」
どうやらクラウドは、ティファの父の出現を危惧しているようであった。彼女自身はそう思ってはいないのだが、幼馴染にとっては中々怖い存在らしい。
夜に若い娘を連れ出してお前は常識が無いのか!と、叱られるとでも思っているのか。
「ここで話す?」
ロックハート家の敷地入り口には3段程の石畳の階段があり、人が腰掛けるには丁度良く、無言で座るクラウドの後に続きティファも腰を下ろした。

ティファの姿を確認してから、クラウドの心臓は高鳴りっぱなしだった。
幼い頃はお互いの家でお泊まりもした事のある仲だが、大きくなるにつれそれは無くなり、年頃の男女としての適当な距離も取るようになって。
だから風呂上がりと思われる彼女を見るのは久々であったし、ラフなルームウェアを見る事については初めてで心の中では歓喜の声を上げた。
それでも随分前から待っていたなんて恥ずかしくて言えず、さも今来たかのようなセリフを彼は吐く。
ロックハート家の門扉を潜り、石段の一番上の段に並んで腰掛けた。僅か5㎝程の、ひどくもどかしい空間を作って。

こんなに近くで座ったのは、小学校以来じゃないだろうか?
ほんの少し動いただけで身体が触れそうな距離に、ティファはドキドキする。
そんな彼女の気持ちには気付かないらしく、クラウドがいつもの口振りで話し出した。
「実は、この前の土曜日に…」
「うん」
「エアリス先輩と会ったんだ」
ここへ来る前予想した通りの話だった。ついさっき感じた胸の鼓動は、全く別の意味の動悸へと変わってしまう。
ティファはそれを落ち付けようと、努めて冷静に応じた。
「知ってる」
「えっ!?…先輩が言ったのか?」
驚くクラウドに、彼女は平静を保って答える。
「ううん。うちのクラスに見てた子がいて、教えてくれたの。一緒にスタバに行ったでしょう?」
「ああ。キャラメルフラペチーノ奢らされた」
その光景を想像し、浮かびそうな涙をティファは堪える。カウンターに並んで座る美男美女。周囲からも注目されたに違いない。
でもまだ泣く段階じゃない。
彼から恋愛事情を打ち明けられるまで、泣いてはいけない。
だから悪戯っぽく、いかにも楽しい話を聞いている風に自分の持っている情報を公開した。
「その前にアクセサリーも買ったでしょう?」
「……」
言った瞬間、クラウドは顔を背けた。好きな人にプレゼントを選んでいる光景など、他人に見られたくなかったのだろう。
照れる様なその仕草はティファの胸に突き刺さる。
「…エアリス先輩、綺麗だよね」
「綺麗?…まあ、そうだな。美人だな。でも他にも良い所は色々ある」
ただの事実確認。分かっている、彼が惹かれる気持ち。同性から見ても素敵だと思う花の様な人。
自分が勝手に傷付いている事にティファの心は更に傷付いたが、それを表面に出す事はせず、また明るく言う。
「先輩の誕生日は2月だよ」
「らしいな。ちゃんと誕生日プレゼント贈れって言われた。ザックス先輩からも貰うくせに」
顔を背けたままのクラウド。
「……」
「……」
暫し沈黙が落ちる。
彼が自分の好きな人について、どう打ち明けようか迷っているのが分かったティファは、誘導するように口を開いた。
決定的な言葉はきっと、思っている以上の痕となって心に残る事を彼女は感じていたが、覚悟を決めてここに来たのだ。
「お似合いだと思う」
「何が?」
今までの話と繋がりが無いと思える発言に、クラウドはティファに向き直る。
彼女は彼の目をしっかりと見つめて続けた。
「付き合うの。エアリス先輩と」
「知ってたのか!」
デート現場を目撃された事を知った時以上の驚いた反応。少し面白くて、とても悲しい。でもやっぱりティファは、それを表面に出さなかった。彼女なりのプライドだった。
「私、応援してる!」
とても良い笑顔でいつもよりハイテンションなんだろうなぁと、どこか冷静に自分を観察している。
「…俺が言うのも変だけど」
決定的な言葉が下される瞬間に、彼女は唾を飲み込んだ。
「ありがとう」
私の恋は終わった。まるで小説の書き出しのような文章が脳内に浮かんだのが、ティファには可笑しかった。
きっと5秒後に泣く。それが分かったから彼女は元気に別れの挨拶をした。
「それじゃあ、そろそろ戻るね!おやすみ、クラウド!」

肝心な用件を伝える前に立ち上がり、自分の側から去ろうとするティファにクラウドは焦った。
「待ってくれ!!」
座ったまま咄嗟に掴んだ手。想像以上に華奢で柔らかで、彼はまた焦る。
「話がまだ終わってない」
久しぶりに握った手の感触に感覚の大半を持って行かれかけているが、辛うじて立ち上がったティファを見上げながら引き止める言葉は言えた。
「…もういいじゃない。離してよ」
しかし、ティファはそれを上擦った声で断る。
…上擦った声?人が上擦った声を出す時はどんな時だった?
湧き上がった疑問とその解答に、クラウドも石段から立ち上がり答え合わせをしようとした。
本当は手を離して彼女を解放しなくてはならない事くらい彼にも分かっている。しかしここでティファの手を離したら、二度と彼女へは近付けない気がして。
直感のままにクラウドは強引にティファの肩に手を掛け、自分の方に向き直らせた。
やっぱり泣いている。
俯いたままで顔はよく見えないが、涙の粒がはっきり見えた。
「見ないでよ…」
ティファが弱々しく言う。
理由が分からずクラウドは困惑する。
「俺…ティファに何か悪い事言ったか?」
「言ってないよ」
こんな時ティファと仲が良いエアリスなら、ティファの涙の理由がちゃんと分かるだろうし、親友のザックスなら、女の子を上手く泣き止ませる台詞をすぐに言えるんだろうと、彼は今ここに居ない人物に助けを求めたくて堪らなくなった。しかし、このままでは終われないことを知っている。クラウドはクラウドなりにこの状況を打開しようと頑張った。
結論として大半の男が訊くであろう、一般的な質問しか出来なかったが。
「何で泣いてるんだ?」
心から困ったクラウドの情けない声がティファの逆鱗に触れたのか、彼女が語気を強めた。
「私の事なんてどうでも良いじゃない!エアリス先輩と付き合うの応援してるから、もう離して!」
最初言っている言葉がすんなり頭に入って来ず。
脳が彼女の発言内容を理解した時、彼は一般的な男とやはり同様の非常に短い発声しか出来なかった。
「…は!?」
別にティファを馬鹿にしているわけじゃない。でもクラウドからはその一文字しか出てこなかった。
彼の反応に、ティファが怪訝な顔をする。
「…何?どういう事?」
まだ涙が零れていたが、クラウドとしっかり目線を合わせ、事実を聞こうとしてくれた。
「エアリス先輩、ザックス先輩と付き合ってるんだけど」
「…は!?」
今度はティファが一文字しか発せられなかった。
「もしかして、勘違いしてた?」
クラウドの確認に、ティファの顔がどんどん赤くなる。それを心底可愛いと思いながら、彼は自分の中に余裕が出来つつあるのを感じていた。
そんな彼の内心など知る由もないティファが言い訳をする。
「だっ…だって!付き合うの応援してるって言ったら、ありがとうって言ったじゃない!」
「一応うちの部、部活内恋愛禁止だからな。ザックスから隠れて付き合ってて苦労してるって話を聞いてたから、ティファが応援してると言ってくれて、二人の代わりに『ありがとう』と言うか…」
「もう!紛らわしい!私てっきりクラウドがエアリス先輩と付き合ってるのかと思って…」
そこまで言って、ティファは自分の口が思いっきり本心を暴露している事に気付いた。今度は耳まで赤くして俯く。
クラウドはやはり、それを心底可愛いと思った。

ティファにとってクラウドと居る時間は、胸が高鳴るのと同時にとても安心する事が出来て、お互い特に話す事が無くてもひどく居心地が良いものだった。
でも、今は違う。
「……」
「……」
沈黙に耐えきれなくなったのか、ようやくティファの手を離したクラウドが乱暴にズボンのポケットを探り出した。
「こっコレ!!」
彼女の目の前に差し出された小さな箱。およそ5㎝四方の白い箱にブルーのリボンが結ばれている。
ティファは驚き目を丸くした。
「なっ何!?」
「誕生日プレゼント。ティファ、今日誕生日だろ?」
「…!!誕生日…憶えてたの?」
「うん」
ティファにとっては別の驚きだった。まさかクラウドが自分の誕生日を憶えているなんて思ってもみなかったから。
また瞳が潤み始めるが、涙を見せたらまた彼をオロオロさせそうなので、視線を手元に移す。
「開けていい?」
「どうぞ」
ゆっくり丁寧にリボンを解き、白いジュエリーケースを開けた。
「ピアス…」
指先で持ち上げたそれはティアドロップ型のピアス。街灯の明かりを反射してキラリと光る。
「エアリス先輩のおすすめ」
「…もしかして、一緒に店に居たのって…!」
「ティファの誕生日プレゼント選んでた。と言うか、一人で選んでたらエアリス先輩に見付かってさ…」
頭を掻きながら心底バツが悪そうに言うクラウド。
「見付かった、なんだ」
「うん。見付かって、強引に一緒に選んであげるって言われて」
「そっか…」
見た目は大人しく可憐だが、内面は勝気で積極的。そんなエアリスがここぞとばかりクラウドの腕を掴んで、ピアスが並んだ商品ケースの前までグイグイ彼を引っ張って行く。
目に浮かんだそのシーンはとてもエアリスらしくて、ティファは嫉妬ではなく純粋にその場に居たかったと思った。だって絶対面白そうな光景だから。
「見付かった時、丁度エアリス先輩にティファへのプレゼントは何を選んだら良いのか携帯で相談しようか迷ってたんだ。それでエアリス先輩が幾つか候補挙げてくれて、最終的に俺が選んだんだけど…。好みに合う?」
不安そうなクラウドに、ティファはここ何年かで一番の笑顔を見せた。
「うん!すごく嬉しい!大事にする!!」
持ち上げ耳に当ててみる。似合うかどうかは分からないが、クラウドが嬉しそうな顔をしている事が、ティファにも嬉しくて堪らなかった。

彼の小遣いの範囲内で、目の前のピアスは中々のものだった。フックタイプのゴールドの基礎の先に、多面的にカットされた涙型のスワロフスキーが揺れている。
正直宝石でもないガラスが何であんなに高いんだ!?という疑問も無くは無いが、とにかくティファが喜んでくれてクラウドは安心した。
何より、初めてのプレゼントでいきなりアクセサリーを贈っても引かれなかった事に安心した。
無事このピアスを購入し、店を出た瞬間「アクセサリー贈るのって、独占欲の塊みたいで、引かれちゃうかもね」と怖ろしい言葉をにこやかに口にし、慌てて返品しようと店に向かおうとした彼を「でもティファなら、大丈夫!」と今度は逆の言葉で翻弄した、ザックス曰く天使で小悪魔なエアリスの顔を思い出す。
お陰で今日まで『このままピアスを贈っていいのか?』『もっと軽い感じのモノを選び直した方がいいんじゃないのか?』と苦悩の日々を送る事になったのだ。悩んだ分目の前のティファの反応に、幸福感が増す。エアリスに選んであげた報酬にキャラメルフラペチーノを奢れと強要されたが、今はその報酬は安いぐらいだとさえ思った。
ここ数日間の心理的葛藤を思い浮かべ暫し意識を過去に飛ばしすクラウド。気が付けば指先にピアスをぶら下げたままじっとティファが自分を見詰めていた。
「でも…うちの学校、ピアス禁止だよ?」
そう、彼らの学校ではピアスや化粧など、生徒の風紀を乱す恐れがあるものは厳しく制限されている。
「うん。だからさ…、ティファがピアス開けたら、最初にこれを付けて欲しい」
きっと聞かれると思っていたので、脳内で何度も練習したセリフを、自分でも気障だなぁと思いつつも思い切って言った。
しかし。
「………」
彼女は無言。目線をピアスに戻し、押し黙っている。
失敗した。後悔したクラウドは急いでこのセリフを考えた張本人に、責任を転嫁する。
「そっそう言えってエアリス先輩に言われたんだ!!絶対喜ぶからって!!」
「……」
まだ無言。
彼だって分かっていたのだ。いくらセリフを考えたのが他人でも、実際口に出したのは自分で、責任は全て自分にあるのだと。
「ごめん!変な事言った!!忘れてく…」
「ファーストピアスはそれ用のじゃないと、ピアスホールがちゃんと出来ないよね?」
これ以上状況を悪化させない為、クラウドは昔から使い古されたキャンセルの言葉を発動しようとしたが、言い終わる前にティファが妙に現実的な確認をしてきた。
「…ピアスホール?」
彼の中では彼女のファーストピアスは自分が贈った物と確定していたので、反応が鈍る。
「ピアスホールがちゃんと出来たら、これ使わせてもらっていい?」
そんなクラウドにはお構いなしに、ティファが再び自分の耳元にピアスを持ち上げ微笑んだ。
「ああ…うん。そうしてくれたら嬉しい」
再び幸福感がじんわり心の中に広がってゆくのを彼は感じた。
「…ありがとう、クラウド」
「うん」

不意に夜風が吹いて、二人の髪をなびかせる。スワロフスキーも風に揺られ、何故か彼女の心をざわつかせた。
無くしてしまわないよう、贈られたピアスを取り出した時同様丁寧にジュエリーケースに仕舞う。
手のひらに収まった小箱は、きっとクラウドの気持ちそのもの。でも、まだ『きっと』。確定じゃない。
誕生日プレゼントを渡すという用件は済んだので、もう解散して家の中に戻らなくてはならないのだろう。そろそろ親も心配する。
でもティファはまだここに居たかった。彼の自分に対する確定の言葉が欲しかった。
「……」
「……」
ティファは一度閉めたジュエリーケースの蓋を開け、ピアスを眺めながらクラウドの行動を待つ事にした。
お互い視線も言葉も交わさず、静かな夜が奏でるささやかな街の音を聞く。
やがて手のひらの上の小箱に、ゆっくりクラウドの影が掛かって来た。すぐ側に彼の息遣い。
「…なあティファ、俺の事…好き?」
呟くみたいな小さな声。さっきまでのティファの反応を見ていたくせに、それを忘れたかのような不安と恐れが混じった子供みたいな問い掛け。
でも、彼女の心臓を跳ね上がらせるには十分だった。
「……」
感情が湧きあがって、彼女は上手く言葉を出すことが出来ない。自分がどれだけ想っているのか伝えたいのに。
しかしティファが無言なのを、今度もクラウドは誤解したらしい。
「ごめん!変な事言った!!忘れてく…」
「クラウドは、私の事…好き?」
今更聞かなかった事になんて出来ない。でも、無しにしようとする彼に少し腹を立てて、彼女は質問を質問で返した。
「好きだ。もうずっと前から」
即答。しかも、彼の声はとても力強い。
「……」
ティファは言葉を探した。今一番相応しい、相手に好意を伝える言葉。でも出てきたのは。
「だから…何で泣くんだ」
困り果てたクラウドの声。何も言えない代わりに涙が後から後から瞳から出てくる。彼女はそれを止めることが出来ない。
遠慮がちにクラウドの手が自分の肩に掛かったのを感じたティファは、彼の手の大きさに少し驚いた。
「ティファ」
「…嬉しいから」
辛うじて出た声は、先程のクラウド同様囁くような小さな声。
「えっ?」
聞き取れなかったらしい彼にもう一度伝えなくてはならない事は分かっていたが、嗚咽で上手く喋れそうにない。
そんなティファの両肩に優しく手を置き、クラウドは待ってくれた。
また風が吹く。幼い時以来一番近くに居るクラウドの匂いがティファに届いた。彼女を安心させる匂いだった。

「…嬉しいから泣いたの」
ティファの声はまだ小さかったが、今度はちゃんとクラウドにも聞こえる。
「俺がティファの事好きだと、嬉しい?」
「うん」
自分の好意を泣く程嬉しがってくれるティファの気持ち。クラウドは舞い上がりそうだった。いや、舞い上がった。舞い上がった勢いのままずっと望んでいた事を口にした。
「…付き合ってくれとか、言ったら?」
交際のお願いではなく、お伺いではあったが。
しかしまたティファが現実的な問題を持ち出す。
「…うちの部、部活内恋愛禁止だよ」
「まあ、そうだけど」
クラウドとて分かってはいたが、今の勢いならいけると思ったのだ。
これは、気持ちは嬉しいが今まで通り、幼馴染で友人な関係を継続しようという彼女の意思表示なのかと彼は意気消沈する。
が、またすぐに舞い上がる一言をティファから貰った。
「みんなにバレないようにしないとね」
バレないようにと言うことは…。
「それは、OKだと解釈して良い?」
無言で頷くティファに、抱き締めたい衝動を全力で堪えるクラウド。
ティファの両肩に置く手にも思わず力が入りそうだったが必死にセーブし、あくまで紳士的な態度を崩さないよう最大限の努力をした。
ここでいきなり抱き締めたら、彼女を驚かせて、もしかしたら今度こそ本当に引かせて、今までの努力が水の泡になる。
そんなクラウドの苦労を全く知らず、ティファが涙で潤んだ瞳で彼を見上げて、彼を更に抱き締めたい衝動に駆らせる笑顔を見せた。
「クラウド」
「うん」
「ありがとう。本当に嬉しい」
「うん」
もっと気の利いた返事が出来ないのかと思ったが、今の彼には身体の衝動を抑えるだけで精一杯だった。
「…最高の誕生日プレゼント!」
俺の方が最高だ!
でも心の声をそのまま出すのはやはり恥ずかしく、ティファには随分表現を薄めて伝えたクラウドだった。
「俺の方が嬉しい。本当にありがとう」

明日は早朝から部活があるのに二人とも日付けが変わりそうなこの時間に、それぞれの部屋のそれぞれのベッドで布団を被ってまだ起きていた。
ティファは、これから送るであろうクラウドの『彼女』としての学生生活に思いを馳せ、胸が踊って眠れず。
クラウドは、ティファの『彼氏』な自分自身の存在に、やれば出来るんだよ、俺!本当に良くやったよ、俺!と自画自賛の嵐で眠れず。
相手を想い枕をぎゅっと抱き締め、ゴロゴロと寝返りを二人同じタイミングでうつ春の夜となった。

END




ティファ、お誕生日おめでとうーーーーー!!!!←4ヶ月遅れ
これを書き始めた日付を見たら、7月24日となってて、どんだけ時間掛けてんだと凹みました。いえ、もちろん時間だけじゃなく、愛情も掛けてます。
二人が普通の学生だったらどうだろう?とニヤニヤしながら書きました。クラウドの内面がハイテンションなのは、私が男子を実際育てているのが影響しているかもです。クラウドのイメージと違いすぎたらスミマセン。
しかし、去年に引き続きプレゼントがピアス。しかもイイ仕事するエアリス姐さん。
私はエアリス姐さんが気に入ってるんだなとしみじみ思った話ともなりました。
何はともあれ、皆様が楽しんで頂けたなら幸いです。

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